最新・行政の動き
人材開発支援助成金 不正受給防止へ審査厳格化 厚労省
厚生労働省は、人材開発支援助成金「人への投資促進コース」をめぐり、定額制の訓練を提供する東京都内の教育訓練会社が関与した大規模な不正受給事案が発生したことを受けて、再発防止策を徹底する方針を明らかにしました。
厚労省によると、同社が関与した不正受給事案は、助成金申請事業主計191社、総額約20億円に上っています。昨年12月には、30労働局において不正受給認定と助成金返還命令を行ったほか、訓練会社名も公表しました。
訓練委託元企業である申請事業主各社は、委託先である同社から資金提供を受け、それを訓練経費の支払いの原資として訓練の提供を受けていました。実質的に訓練経費の全額を負担していないにもかかわらず、国に支給申請を行い、不正に助成金を受給していました。
類似事案の発生を防ぐため、厚労省は、再発防止策を講じる方針です。不正事案では、教育訓練会社が申請事業主に対して労働局への虚偽報告を指示するなど、不正受給をそそのかすような案内を行っている実態がありました。助成金の申請時の提出資料として、「教育訓練会社から提供された資料一式」を追加し、不適切な営業行為が行われていないかどうかを労働局が厳正に確認していきます。
不正受給につながるケースを具体的に示し、どのような行為が不正受給に該当するかを分かりやすく解説するため、事業者や教育訓練機関向けのリーフレットも改定が行われます。さらに、不正受給防止マニュアルの整備を通じ、各労働局での審査を厳格化していきます。リーフレットの作成などについて厚労省は「なるべく早く対応したい」と話しています。
ニュース
ストレスチェック 外部機関へ委託推奨 小規模企業向け手引き
厚生労働省は、「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しました。実施に当たって外部機関への委託を推奨するなど、小規模事業場における現実的かつ実効的な実施方法を示しています。
マニュアルは、昨年5月公布の改正労働安全衛生法により、ストレスチェックの実施義務が労働者50人未満の事業場にも課されることを踏まえて作成しました。制度の実施に向けた事業者の準備事項には、ストレスチェック制度の導入方針の決定・表明のほか、関係労働者の意見聴取や、社内ルールの作成・周知を挙げています。
制度の実施体制については、外部機関の活用を推奨しました。事業者は、委託先に依頼して、医師や保健師などストレスチェックの「実施者」を選定します。事業場内においては実務担当者を指名するとしました。
委託先の選定に当たっては、事前に外部機関から「サービス内容事前説明書」を作成・提出してもらい、料金体系のほか、高ストレス者・面接指導対象者の選定方法、ストレスチェック結果の通知方法といった実施方法などを確認します。
来春高卒者の採用日程 求人申込は7月から 厚労省
厚生労働省は、主要経済団体や全国高等学校長協会、経済産業省、文部科学省と高等学校就職問題検討会議を開き、令和9年3月に高校を卒業する生徒の採用選考期日を取りまとめました。
ハローワークによる求人申込書の受付は今年6月に開始します。その後、求人不受理の対象かどうかを確認して企業に求人票が返却されます。返却された求人票を用いて、企業が学校への求人申込みや訪問を行えるのは7月1日以降としました。
学校から企業への生徒の応募書類提出開始日は、沖縄県(8月30日)を除き9月5日となります。企業の選考と内定開始日は9月16日です。
新聞や雑誌、インターネット上の広告などによって労働者を募集する「文書募集」の開始は7月1日です。この場合も、通常の求人手続きと同様にハローワークの確認を受けるとともに、応募の受付はハローワークまたは学校を通じて行う必要があります。
「転居転勤あり」を優遇 コース別額差拡大へ 鹿児島銀行
㈱鹿児島銀行は、2027年度の初任給引上げに当たり、転居転勤の有無によるコース別の額差を2万5000円から3万5000円に拡大します。既存社員についても、初任給に準じたベースアップを行う予定です。
同行は総合職社員のコースとして、転居転勤ありの「エリアフリー」と、勤務地を限定する「エリア限定」の2種類を設けています。初任給に関しては、フリーで1万5000円、限定で5000円をそれぞれ引き上げ、大卒・フリーでは28万5000円となります。
23年4月から、1つのコースに2年以上留まることを条件に、年に1回、通算2回までのコース変更を認めました。同行は奄美大島や屋久島などの離島にも支店を展開しているため、人事部担当者は「エリアフリー人材は一定数確保する必要がある」と話しています。直近では25年10月に選択機会があり、50人がフリーから限定に転換しました。同行人事部によると、30歳代の子育て層で、男女を問わずエリア限定を希望する者が多いようです。現在はフリーと限定が6対4の割合になっていますが、このまま限定が増加すれば、将来的には適切なバランスが保てなくなると考え、額差拡大に踏み切りました。
カスハラ事例公表へ 企業向け相談窓口で収集 栃木県
栃木県は、カスタマーハラスメント防止条例の今年4月施行を前に、全国初の取組みとして、事業者から受け付けた相談事例を公表する方針を示しました。来年度に設置される、事業者が対象のカスハラ対応相談受付窓口への相談内容について、個人情報を削除したうえで、事例として定期的に公表していきます。
事例は県のホームページでの公表を想定しています。事業者が受けたカスハラの内容や、どのように対応し、収束したかまでを紹介する予定となっています。
同県労働政策課は、「事例を公表することで、県民の理解を促進し、カスハラを思い留まる効果を期待している。事業者については、自社の対策に役立ててもらいたい」と話しています。
県の条例案では、事業者に対し、カスハラ発生時の就業者に対する速やかな安全確保や、行為者へのカスハラ中止の申入れなどを、努力義務として求めています。
送検
月1時間残業で送検 適正に代表者選出せず 大阪南労基署
大阪南労働基準監督署は、有効な36協定がないまま、労働者に1カ月当たり最大1時間の時間外労働をさせたとして、訪問介護事業者と同社部長、事業場の統括責任者を労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで大阪地検に書類送検しました。過半数代表者を適正に選出しておらず、36協定が有効ではありませんでした。
同社は労働者1人に、令和5年9月~6年3月にかけ、1日当たり2~6分、1カ月当たり最大1時間、法定労働時間を超えて働かせました。時間外労働は主に事務作業や報告業務などに充てられていました。
同社は36協定を届け出ていましたが、同社が過半数代表者を一方的に指名していました。同労基署は、民主的手続きを経て選出されていないとして、協定を無効と判断しています。
同一の期間において、時間外労働に対する割増賃金を一切支払わなかったとして、同法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)違反の疑いでも送検しています。同労基署は「時間外労働があったことを認識していながら、故意に支払っていなかった」と話しています。
監督指導動向
100人以下にも呼び掛け 一般事業主行動計画策定へ事例集 愛媛労働局
愛媛労働局は、女性活躍推進法と次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画について、努力義務となっている従業員100人以下の企業に対しても策定を呼び掛けています。事例集を作成し、同労働局のホームページで公開しました。
事例集には、実際の行動計画を直接参照できるリンクを設けたほか、特徴的な取組みを抜粋してまとめました。100人以下の計画としては、松山宮地商社㈱(愛媛県松山市、56人)をピックアップしました。特徴的な取組みとして、保育園や小学校の急な閉園閉校などをサポートする「子連れ出社制度」が紹介されています。
愛媛県が設ける認証制度の「ひめボス」は、同計画の策定が要件となっています。同労働局雇用環境・均等室は、「100人以下の企業でも、認証をめざし、策定に乗り出す企業も多い。一方で、目標設定や取組み内容の立案に苦慮する声も聞かれる」と、事例集を計画策定のヒントにしてもらいたいと話しています。
調査
在籍型出向している従業員に対する意識調査(産業雇用安定センター)
産業雇用安定センターは、規模300人以上の企業に在籍し、出向している役員または正社員を対象に調査を行いました。
出向の理由を複数回答で尋ねたところ、「出向先の人手不足を補うため」が31.7%で最多となりました。次いで「グループ内企業に出向することが人事上の慣行となっているから」が26.4%となりました。
出向することになった理由について(複数回答)

出向期間満了後の予定については、「現時点では分からない」が40.3%で最多となり、以下、「出向元に復帰する予定」が23.7%、「出向先に定年退職まで出向予定」が23.6%、「出向先組織にそのまま転籍予定」が8.0%で続いています。出向して良かった点も複数回答で尋ねました。多い順に、「出向元での雇用が継続しているので不安なく働くことができた」が31.2%、「新たな技術・スキルを吸収することができた」が26.7%、「出向先の事業に貢献できた」が24.6%となっています。
実務に役立つQ&A
採用予定なら通算? 無期転換に必要な5年
1年契約のアルバイトが、家庭の事情でいったん退職させてほしいと申し出てきました。一定期間経過後はまた働けるとのことで、その際は改めて採用したいと考えています。次の契約締結を予定していると、無期転換に必要な5年の期間へ通算されますか。
無期転換に必要な5年の通算契約期間は、有期労働契約に連続性がないときには通算されません。有期労働契約の満了日と次の有期労働契約の初日との間に存在する契約がない期間(無契約期間)の長さが、一定以上あれば空白期間に該当し、リセット(クーリング)されます。
当初の有期労働契約が1年以上の場合は、クーリングに必要な期間は6カ月です(労働契約法第18条第1項の通算契約期間に関する基準を定める省令)。なお、ご質問のケースは退職ですが、これと異なり雇止めが無効とされたときは契約期間に通算されます。
仮に、再び働けるようになるまで会社が待つとして休職的な取扱いとするのであれば、労働契約自体は存続している状態です。契約期間内に不就労の部分があっても通算されると解されています(荒木尚志ほか「詳説労働契約法」)。
身近な労働法の解説 ―女性活躍推進法③えるぼし認定―
女性活躍推進法による行動計画の策定・届出を行い、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により、厚生労働大臣の「えるぼし」認定を受けることができます(9条)。
1.えるぼし認定(「えるぼし」は、女性活躍推進法認定マークの愛称です)
一般事業主行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍推進に関する取組の実施状況が優良である等の一定の要件を満たした場合に認定されます。えるぼしには3段階あり、各認定要件は以下のとおりです。
(1)1段階目
- えるぼしの5つの評価項目(管理職比率、労働時間等)の基準(以下「5つの基準」)のうち1つまたは2つの基準を満たし、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」(以下「DB」)に毎年公表していること。
- 基準を満たさない項目については、以下に該当すること。
ア.単年度の実績を評価している項目については、2年以上連続して実績が改善していること、
または以下のいずれかに該当すること。
「直近の事業年度までの連続する3事業年度の平均値(A)」、「その前の事業年度までの連続する3事業年度の平均値(B)」、「その前々年度までの連続する3事業年度の平均値(C)」を比較し、連続して改善していること。(A>B>C)
イ.上記以外の項目については、2年以上連続して実績が改善していること。
(2)2段階目
- 5つの基準のうち3つまたは4つの基準を満たし、その実績をDBに毎年公表していること。
- 満たさない基準については、事業主行動計画策定指針に定められた取組の中から当該基準に関連するものを実施し、その取組の実施状況についてDBに公表するとともに、2年以上連続してその実績が改善していること。
(3)3段階目
- 5つの基準の全てを満たし、その実績をDBに毎年公表していること。
2.プラチナえるぼし認定
えるぼし認定企業のうち、一般事業主行動計画の目標達成や女性の活躍推進に関する取組の実施状況が特に優良である等の一定の要件を満たした場合に認定されます。認定基準は次のとおりです。
- 策定した一般事業主行動計画に基づく取組を実施し、当該行動計画に定めた目標を達成したこと。
- 男女雇用機会均等推進者、職業家庭両立推進者を選任していること。(※)
- プラチナえるぼしの管理職比率、労働時間等の5つの基準の全てを満たしていること(※)
- 女性活躍推進法に基づく情報公表項目(社内制度の概要を除く。)のうち、8項目以上をDBで公表していること。(※)
※実績をDBに毎年公表することが必要
2026年4月、えるぼしおよびプラチナえるぼしについて、女性の健康支援に関する基準を加えた新しい認定「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」が創設されました。
各認定の詳細は、厚生労働省のサイト「女性活躍推進法特集ページ」をご確認ください。
助成金情報
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
「トライアル雇用」は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を原則3カ月間試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、常用雇用への移行のきっかけとしてもらうことを目的とした制度です。
労働者の適性を確認した上で無期雇用へ移行することができるため、ミスマッチを防ぐことができ、人材確保・職場定着が期待できます。
【支給対象事業主】
・雇用保険の適用事業主であること。
・労働法令違反等の重大な事由がないこと
※一般的な雇用関係助成金の共通要件
【対象労働者】
・ハローワーク等の紹介により雇い入れることが前提になります。
さらに、次のいずれかの要件を満たしたうえで、紹介日に本人がトライアル雇用を希望した場合 に対象になります。
・紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
・紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている
・妊娠、出産、育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
・60歳未満の方で、安定した職業に就いておらず、ハローワーク等で担当者による個別支援を受けている
・就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する※
※生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者等
【トライアル雇用の条件】
・原則として3カ月間の試行雇用
・正社員と同じ「週当たり所定労働時間」で雇用すること
・直接の雇用であること(派遣は対象外)
【助成額等】
| 助成金額 | 原則1人あたり月額40,000円 |
| 母子家庭・父子家庭の場合 | 1人当たり月額50,000円 |
| 支給期間 | 原則3カ月 |
* 制度の詳細は厚生労働省HP「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」等をご参照ください。
今月の実務チェックポイント
子ども・子育て支援金創設
令和8年度から新たに「子ども・子育て支援金」が導入されます。この支援金は、子育て世代を社会全体で支えるための費用で、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料と同様に労使で折半することになります。
全国健康保険協会、多くの健康保険組合では、被保険者と事業主の総負担が増えないよう、健康保険料率から支援金相当分を差し引く形で改定が行われます。
令和8年3月改定分(令和8年4月納付分)からの健康保険・介護保険の保険料率は少し下がりますが、令和8年4月分(令和8年5月納付分)から「子ども・子育て支援金」を被保険者・事業主ともに負担することになります。令和8年度の支援金率は0.23%となっています。
子ども・子育て支援金は以下の施策に充当されます。
1.児童手当の拡充(高校生年代まで延長、所得制限撤廃、第3子以降の増額)
2.妊婦のための支援給付
3.育児時短就業給付
4.こども誰でも通園制度
5.育児期間中の国民年金保険料免除
令和8年度から令和10年度にかけて段階的に構築する、「少子化対策のための特定財源」で、子育て世帯を支える新しい分かち合い・連帯の仕組み少子化対策に受益を有する全世代・全経済主体に、医療保険の保険料とあわせて拠出することになったものです。
支援金制度の創設によって社会保障負担率(国全体でみた国民所得に対する社会保険料負担の割合)が上昇しないようにするようです。
子ども・子育て支援金制度の円滑な施行に向けたシステム整備等
子ども・子育て支援金制度の円滑な施行に向けて必要となる医療保険者等が行うシステム改修等に対する支援を目的として、「こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定)」および「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第47号)に基づき、既に695億円が令和6年度補正予算額として決定されていました。
子ども・子育て支援金に関する試算(医療保険加入者一人当たり平均月額)

出典:令和7年3月こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室
今月の業務スケジュール
| 労務・経理 | 慣例・ 行事 |
| ●3月分の社会保険料の納付
●3月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付 ●労働者死傷病報告の提出(休業4日未満の労働災害等、1~3月分) ●給与支払報告に係る給与所得者異動届出書の提出 |
●新入社員入社式、入社手続き、歓迎会
●新入社員の社内研修および配属の実施 ●ゴールデンウイーク休暇中の社内体制確立・対外広報 |





