最新・行政の動き
施行時期は10年4月
50人未満のストレスチェック 厚労省
厚生労働省は、ストレスチェックの実施義務の対象拡大の施行日を令和10年4月1日とする政令案について労働政策審議会に諮問し、「妥当」との答申を受けました。円滑な施行に向けて、実施マニュアルの周知や、地域産業保健センターにおける支援体制の整備などを進める考えです。
実施義務の対象拡大は、昨年5月公布の改正労働安全衛生法および作業環境測定法に盛り込まれました。施行日は政令で定める公布後3年以内の日とされていました。改正法では、新たに50人未満の事業場に対し、ストレスチェックの実施のほか、高ストレス者への医師の面接指導と就業上の措置の実施を義務付けました。
厚労省では、50人未満の事業場でも適切にストレスチェックが行われるよう、実施時の留意事項を示した「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を2月に公表しました。
同マニュアルでは、労働者のプライバシー保護の観点から、外部機関への委託による実施を推奨しています。事業者が実施時期と対象者などを決定したあと、実施時期に委託先が調査票を配布・回収するとしました。
その際、労働者が戸惑わないよう、事業者が選定した自社の実務担当者が、実施時期や委託先外部機関名、調査票の配布・回収方法、受検勧奨の方法などを社内で予告しておく必要があるとしています。
ニュース
「稼ぐ力」が重要に 26年の中小白書を公表 中企庁
中小企業庁は2026年版の中小企業白書と小規模企業白書を公表しました。中小企業の労働分配率はすでに8割近い水準に達しているとして、賃上げ原資の確保に向けた、「稼ぐ力」の強化が重要と強調しています。
稼ぐ力を強化するためには、労働生産性向上と付加価値額の増加が必要です。人材育成はOJTだけでなく、OFF-JTの取組みが重要になるとしました。OJT、OFF-JTの双方に取り組む企業における付加価値額の増加率は、どちらも取り組んでいない企業に比べ、7.2ポイント高いとしています。
労務管理の重要性も指摘しました。残業時間が減少していると定着率が高い傾向がみられるとして、従業員の勤怠管理のデジタル化を勧めています。小規模事業者のうち、49.8%は手書きで勤怠管理をしている実態があります。
好事例としては、透明性の高い人事制度と人材育成に取り組む東陽電気工事㈱(福島県西郷村、11人)などを紹介しました。同社は人事評価制度が未整備で、勤続年数のみで給与が決まる慣行が長年定着していましたが、工期管理や技能・技術力などを重視した実力評価型の人事制度を構築し、給与体系に反映する仕組みを導入しました。
若年層の育成強化に向けては、社内に研修施設を開設しました。働き方改革の進展によって、若年層の育成時間が減少したことを受けた対応です。時間的な余裕のなさは現場の雰囲気を悪くさせ、ハラスメントを引き起こしやすい状況にもあったといいます。研修施設では、実際の工事現場を再現し、ベテランの職人が講師となり新人の指導にあたっています。
特定技能届出誤り集を公表 入管庁
出入国在留管理庁は特定技能制度の定期届出でよくある誤り集を公表しました。複数の登録支援機関に支援を全部委託している場合に提出が必要な、「参考様式3-6号(別紙2)」の提出漏れが多いとしています。全部委託をしたすべての登録支援機関の署名を記載して届け出るよう求めました。
同誤り集はそのほか、定期届出ができるのは特定技能の受入れ企業のみとしています。登録支援機関に支援を委託していたとしても、定期届出は受入れ企業自らが行う必要があることを強調しました。
提出書類の省略については、オンライン届出に限り認められるとしました。省略するためには一定の基準を満たす必要があるとしています。
昇格審査でAI面接 小論文は資質見抜けず 日本管財
オフィスビルや商業施設などの建物を管理・運営する日本管財ホールディングス㈱は、課長級への昇格審査の一部として実施してきた小論文試験を廃止し、AIによる面接に置き換えました。近年、生成AIを利用したとみられる文章が増え、文章レベルが均質化し、内容やテーマの面でも類似が多く、受検者の資質を見極めるには適切ではないとの判断によるものです。
昇格審査では小論文のほか、ケーススタディー形式の「マネジメント試験」、行動特性を把握するための「適性検査」を実施しています。マネジメント試験に重きを置いており、小論文や適性検査は参考程度と位置付けています。
同社人事部によると、AI面接は受検者の回答を深堀りして追加質問を重ねていくため、事前の対策が難しく、正確な能力の測定が可能です。今年4月の昇格審査では、受検者とその上司の両方から「(受検者の)今の状態、特性を正確に表している」と好評でした。
面接の結果は点数化し、人事部から受検者とその上司にフィードバックしています。不合格者は改善点を把握したうえで、翌年再挑戦することができます。
適性検査については、把握できる項目がAI面接と重複しているため、今後の廃止を検討しています。
女性求職者向けPRでは職場の雰囲気が肝要 山口労働局
山口労働局は、県内企業の「福利厚生や両立支援制度を整えているのに人材確保に結び付かない」との声を受け、県内ハローワークを利用する女性求職者を対象にアンケート調査を実施しました。応募を決める際に、確認できると安心する情報として、「職場の雰囲気」や「休暇の取得状況」が上位に上がりました。結果を受け同労働局は、「女性確保に向けては、制度を導入するだけでなく、実際の働き方を分かりやすく示すことが大切」と勧めています。
応募を決める際に安心する情報として、最も多かったのは「給与・待遇の目安」となり、総回答数の21.9%を占めました。次いで「職場の雰囲気」が20.9%、「残業・勤務時間の実態」と「休暇の取得状況」がそれぞれ16.8%で続いています。
働き続けやすさの観点で重視することについては、割合が高い順に「急な休みが取りやすい(子どもの体調不良など)」が25.7%、「勤務時間の調整がしやすい」が21.1%となっています。
アンケートを踏まえ、自社の状況を見直す際に使えるチェックリストを作成しました。求人情報に「休暇の取得状況(取得のしやすさ・運用)を記載している」、「職場の雰囲気を伝える材料(見学、社員、育成体制等)がある」など、16項目を設けました。ハローワークでの求人者支援で調査結果やチェックリストを活用し、求人充足に結び付けていきます。
送検
労災かくし端緒に発覚か “無資格”を事前送検 今治労基署
愛媛・今治労働基準監督署は、解体用つかみ機を無資格で運転させたとして、再生資源卸売業者と同社の代表取締役を労働安全衛生法第61条(就業制限)違反の疑いで松山地検に書類送検しました。同社はいわゆる労災かくしの疑いでも立件されており、この捜査の過程で違反が発覚したとみられています。労災かくしと無資格運転は無関係で、起因した労働災害も発生していませんが、重大・悪質な違反として事前送検に踏み切りました。
労災は令和7年3月30日に発生しました。スクラップを運搬、整理する業務に従事していた同社の中国人労働者に、スクラップの一部が落下しました。手足を骨折し4日以上休業しましたが、同社は労働者死傷病報告を遅滞なく提出しませんでした。
同労基署は労災かくしの捜査のなかで、同日に同社代表取締役が無資格で解体用つかみ機を運転していた事実を確認したとみられます。事前送検をした理由については「重大災害につながり得る違反と判断したため」と話しています。
監督指導動向
運転席からの「飛び降り」で捻挫に 運送業へ労災防止リーフ 鶴見労基署
神奈川・鶴見労働基準監督署は、トラック事業者や倉庫業者での労働災害が多発している状況を受け、リーフレットを作成し、管内事業場へ対策を呼び掛けています。トラックの運転席から飛び降り、足をくじくケガが多いことから、乗降時の手すり使用を促しています。
同労基署はケガの要因に、身体機能の低下を挙げています。年齢を重ねたことで若いころのように無事に着地できず、足をくじいてしまうケースがあるとしました。
管内で直近5年間に発生した労災のうち陸上貨物運送事業は23%を占め、業種別で最多となりました。事故の型は4分の1以上が「動作の反動、無理な動作」で捻挫や腰痛が該当します。
リーフでは、多発している労災をイラスト付きで紹介しています。「プラットホームまたは運転席から降りる際に足をくじく」、「荷を無理な姿勢で持ち上げて腰を痛める」など、12例を取り上げました。
調査
企業8割が入社前交流 2026年度新入社員意識調査(東商)
東京商工会議所は、2026年度の新入社員を対象に、仕事への意識などを調査しました。
内定後、入社までに会社主催で行われたイベントや研修の状況を複数回答で尋ねたところ、約8割の企業において何らかの取組みを実施している状況が明らかになりました。
具体的な取組み内容は、「懇親会」が上位4位を占めています。回答割合が高い順に、懇親会の相手ごとに「会社の役員等と」が25.4%、「年次の近い先輩と」が25.3%、「人事担当者等と」が23.2%、「同期と」が22.3%。次いで「職場見学」が16.3%、「面談」が14.9%と続いています。
内定後、入社までに会社主催で行われたイベントや研修(複数回答)

業務外で求めるコミュニケーションも調査しました。87.1%の新入社員が何らかの業務外コミュニケーションを求めています。内容別では「仲の良い同僚などとのランチ」が48.6%で最も高く、「オフィシャルな懇親会・飲み会」が42.4%で続いています。
実務に役立つQ&A
巡視時で問題ないか 長時間労働の面接指導
当社で契約している産業医には2カ月に1度のペースで職場巡視してもらっています。長時間労働の従業員から面接指導の申出があったのですが、職場巡視のタイミングとうまく合いませんでした。次回の巡視のときに実施で良いでしょうか。
長時間労働の面接指導は、労働者の申出に基づき行われます(安衛則52条の3)。週40時間を超えて働いた時間が月80時間を超えたときには会社はその旨本人に通知する義務があります(安衛則52条の2第3項)。時間の算定は、毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければなりません。要件を満たす労働者は、概ね1カ月以内に面接指導を申し出る必要があります(平18・2・24基発0224003号)。労働者の申出から概ね1カ月以内に面接指導を行うという流れになります。
面接指導の実施時期と職場巡視のタイミングがずれることも少なくないでしょう。職場巡視は、産業医が実地で実施する必要があります(令3・3・31基発0331第4号)。一方、面接指導も原則的には対面での実施が求められますが、オンラインで行うことも可能です(令2・11・19基発1119第2号)。
身近な労働法の解説 ―職場におけるセクハラ防止措置―
男女雇用機会均等法11条は、事業主に対し、職場におけるセクシュアルハラスメントにより、労働者の就業環境が害されることのないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じることを義務づけています。
また、2026年10月1日施行の改正均等法では、事業主や雇用する労働者による性的な言動により、求職者等による求職活動等が阻害されることを防止する措置が義務づけられます(改正法13条)。
- 事業主の防止措置
(1)事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
①労働者および求職者等に対するセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発します。
②労働者および求職者等に対するセクシュアルハラスメントを行った者については、厳正に対処する旨の方針および対処の内容を、労働者に周知・啓発します。
③求職活動等に関するルール※をあらかじめ明確化し、労働者および求職者等に周知・啓発します。
※例えば、面談時間および場所の指定、実施体制、やり取りに用いるSNSの種類の指定等、面談等を行う際の規則など
(2)相談体制の整備
④相談窓口をあらかじめ定め、労働者および求職者に周知します。
⑤相談窓口担当者が、適切に対応できるようにします。
(3)事後の迅速かつ適切な対応
⑥事実関係を迅速かつ正確に確認します。
⑦被害者に対する配慮のための措置を行います。
⑧行為者に対する措置を適正に行います。
⑨再発防止に向けた措置を講じます。
(4)そのほか併せて講ずべき措置
⑩相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者および求職者等に周知します。
⑪労働者が事実関係の確認等の事業主の措置に協力したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発します。
2.求職者等・求職活動等とは
(1)「求職者等」とは、①求職者(企業の求人に応募する者)、②求職者以外の者であって、事業主の実施する労働者の採用に資する活動に参加する者や、教育実習、看護実習その他の実習を受ける者をいいます。
(2)「求職活動等」とは、求職者が行う求職活動や求職者に類する者が行う職業の選択に資する活動を指し、例えば、「企業の採用面接への参加、企業の就職説明会への参加、企業の雇用する労働者への訪問、インターンシップへの参加、教育実習、看護実習等の実習の受講」が含まれます。なお、SNS等のオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも含まれます。
今月の実務チェックポイント
算定基礎届提出前の確認と月額変更届(随時改定)
今月の重点項目について確認しましょう。
■算定基礎届(定時決定)提出前の確認
月に提出する算定基礎届について、提出前確認を行います。
【チェックポイント】
□7月1日時点で在籍している健康保険・厚生年金保険の被保険者が対象
□以下の方は除外
6月1日以降に資格取得した人
6月30日以前に退職した人
7~9月に月額変更届(随時改定)、育児休業等終了時報酬月額変更届、産前産後休業終了時報酬月額変更届を提出する予定の人
【実務ポイント】
・4月・5月・6月に実際に支払った給与・報酬を基に届出します。
・通勤手当、各種手当、残業代等も報酬に含みます。
・決定通知書到着後は、9月分保険料変更に備えて給与システムへの反映準備を進めます。
・社会保険料改定のお知らせ
算定基礎届により決定された標準報酬月額は、9月分保険料から変更になります。
給与明細書等で、「9月分保険料から変更」を案内します。
■月額変更届対象者の抽出(随時改定)
昇給・降給・手当変更など、固定的賃金に変動があった方について確認します。
【チェックポイント】
□4月固定的賃金変動者 → 4~6月平均確認 → 7月 月額変更届提出
□5月固定的賃金変動者 → 5~7月平均確認 → 8月 月額変更届提出
□従前の等級と比較して2等級以上差があるかを確認
(標準報酬月額の上限または下限にわたる等級変更の場合は、1等級差でも随時改定の対象となります。)
□支払基礎日数の確認
月額変更(随時改定)に該当する3つの条件
- 固定的賃金の変動(基本給、役職手当、時給単価、諸手当などの変更)
- 変更後3カ月平均額により算出した標準報酬月額が、従前の等級と2等級以上差があること
- 支払基礎日:3カ月すべての月で支払基礎日数が17日以上(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)あること
【実務ポイント】
随時改定による保険料改定は、固定的賃金の変動月から4カ月目です。
(例:5月昇給 → 5~7月平均 → 8月改定 → 8月分保険料から変更)
7月・8月・9月に月額変更届(随時改定)に該当した場合は、随時改定が優先されます。
助成金情報
両立支援助成金(育休中等業務代替支援コース)
少子化対策や男性育児休業取得促進の流れの中で、企業には育児休業を取得しやすい職場環境づくりが求められています。一方、中小企業では「代替要員が確保できない」「現場が回らない」といった理由から、育休取得への対応に苦慮するケースも少なくありません。こうした課題に対応するため、両立支援等助成金の「育休中等業務代替支援コース」が設けられています。本コースは、育児休業取得者の業務を代替する体制整備を支援する制度です。
育児休業取得者の業務を他の労働者が代替する場合や、代替要員を新たに確保する場合に、その負担軽減や体制整備を支援することを目的としています。
【主な支給要件】
本コースでは、主として以下のような要件が求められます。
・業務を代替する労働者への手当制度等を就業規則
等に規定していること
・対象労働者が一定期間以上の育児休業等を取得していること
・業務代替体制を整備していること
・代替業務の見直し・効率化の取組みの実施
・職場復帰後も継続雇用されていること
【助成額】
| 種別 | 要件 | 支給額 | |
| 1 | 手当支給等
(育児休業) |
育児休業取得者の業務代替者に手当を支給 | A業務体制整備費:最大20万円 B業務代替手当:手当支給額の3/4 (最大240万円) |
| 2 | 手当支給等
(短時間勤務) |
短時間勤務者の業務代替者に手当を支給 | A業務体制整備費:最大20万円 B業務代替手当:手当支給額の3/4 (最大108万円) |
| 3 | 新規雇用
(育児休業) |
育休取得者の業務代替要員を新規雇用または派遣で受入 | 〇最短(7日以上):9万円 ○最長(1年以上):81万円 |
【手続の流れ】
まず就業規則や育児介護休業規程を整備し、育休取得と業務代替の運用ルールを明確化することが重要です。
その上で、育休取得前後の業務分担、代替者への手当支給状況、勤務実績等を記録・保存し、必要書類を添付して支給申請を行います。
申請にあたっては、育休取得実績だけでなく、「どのように業務代替を行ったか」が確認されるため、日頃からの運用記録が重要となります。
【ポイント】
本コースは、「育休取得が可能な組織運営」を支援する制度といえます。特に中小企業では、属人的業務の見直しや業務の平準化を進める契機となるほか、従業員の定着率向上や採用面での企業イメージ向上にもつながります。
人手不足が続く中、単なる福利厚生としてではなく、人材確保・定着戦略の一環として活用を検討したい助成金です。
* 制度の詳細は厚生労働省HP「両立支援等助成金のご案内」等をご参照ください。
今月の業務スケジュール
| 労務・経理 | 慣例・ 行事 |
| ●6月分の社会保険料の納付
●6月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付 ●労働保険の年度更新 申告・納付(6月1日から7月10日) 労働保険料(第1期分)の納付(延納申請をした場合) ●労働者死傷病報告の提出(休業4日未満の労働災害等、4~6月分) ●社会保険の算定基礎届の提出 ●賞与支払届の届出 ●高齢者雇用状況報告書・障害者雇用状況報告書の提出 |
●全国安全週間
●お中元の準備・発送 ●暑中見舞いの準備・発送
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