
最新・行政の動き
報告義務新設で通達 個人事業者の業務上災害 厚労省
厚生労働省は、来年1月にスタートする個人事業者の業務上災害の報告制度をめぐり、都道府県労働局長に対し、改正労働安全衛生規則の施行通達を発出しました。労働基準監督署への報告義務が生じる「災害発生を把握したとき」に関する考え方が明確化されています。注文者などが個人事業者本人から報告を受けた場合のほか、災害発生を現認した場合、被災者の救助や救急搬送があったことを把握した場合を挙げました。
改正安衛則では、個人事業者と同一の場所で仕事を行う直近上位の注文者(特定注文者)に対し、個人事業者が業務上の災害で死亡または4日以上休業したことを把握したとき、労基署への報告を義務付けます。特定注文者が存在しなければ災害発生場所管理事業者等に報告義務を課し、被災者本人に対しても、特定注文者などへの報告を義務付けています。
通達によると、特定注文者などは、被災者が報告義務を果たしていなくても、別の方法で災害発生を把握していれば労基署への報告義務を負います。
ただし、特定注文者などの責めに帰すべき理由以外の理由によって、業務上災害の発生を把握できなかった場合にまで義務を課すものではないとしています。具体例として、個人事業者が、故意、または自身に報告義務があることを知らずに、被災した事実を報告しないままその場から立ち去るケースを示しました。
ニュース
AI学習で流出リスク 中小の4割が無料版 東商
東京商工会議所の中小企業のデジタルシフト・DX推進委員会は、主に東京23区内の中小企業1272社を対象に生成AIの活用状況などを尋ねた調査の結果を公表しました。全体の83.9%の企業が生成AIを活用しており、導入が進んでいることがうかがえる一方、43.2%の企業が「無料ツールのみ使用」と答えています。東商中小企業部は「無料ツールは学習機能がオフになっていないことが多く、機密情報流出などのリスクがある」として、有料版の利用を推奨しています。
同委員会のワーキンググループで調査結果の分析の結果、全体の40.3%が生成AIを「個人レベルで活用している」と回答した点については、「会社側の活用方針や管理ルールの策定が追い付いていないのでは」という懸念の声が挙がりました。調査では、AI活用に関する指針・ガイドラインを策定している企業は7.7%と少なく、今後、セミナーなどを通じて啓発していく方針です。
認定企業の情報集約 市町ごとに探せるサイト 広島労働局
広島労働局は、県内でユースエール、えるぼし、くるみん、もにす認定を取得した企業を一元的に紹介するサイト「認定企業のひろば」を開設しました。求職者が就職希望地にある企業を探しやすくするため、市町ごとに紹介しています。一覧には、企業のホームページと、ハローワークの求人情報へのリンクも設けています。
総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、2025年の広島県の転出超過数は9921人に上り、5年連続で全国最多となりました。若年層が大学進学や就職などをきっかけに県外へ転出しています。サイトを通じて、県内には認定を受けた魅力のある企業が多くあることをアピールしています。
認定企業の増加も狙っています。同労働局雇用環境・均等室は「会社は自社の所在地で、どれくらいの企業が認定を取得しているかを知ることができる。認定取得のきっかけになることも期待している」と話しています。
7月1日現在、県内の認定企業全182社を掲載しています。
管理職が保育体験へ 男性育休促進に向けて 福島県内10市
福島市など福島県内10市と東京大学は、経営者や管理職が保育体験を通じて、仕事と育児の両立への理解を深める実証事業「はぐプロジェクト」を開始しました。管理職らが保育施設を訪れ、約半日間、育児を疑似体験します。男性の育児休業取得を促進する狙いです。
訪問する保育施設は市ごとに用意します。たとえば発起人である南相馬市では、2歳児クラスでの受入れを予定しており、子どもとの遊びや、食事の準備、清掃の補助などを体験します。
保育体験前には、オンラインで座学研修を開きます。育児中の社員のマネジメントに特化した内容で、約2時間実施します。東京大学による効果検証のため、参加者にはアンケートへの回答を求めています。参加申込時点、保育体験直後、保育体験から期間経過後の3回に分けて実施します。保育体験を通じて起きた価値観の変化や、職場環境の改善状況を尋ねます。
南相馬市は、「全国的にもめずらしい取組み。社内で影響力のある管
理職に参加してもらうことで、働きやすい職場づくりにつながる」と話しています。
実施する自治体は、福島、二本松、伊達、須賀川、田村、白河、会津若松、喜多方、相馬、南相馬の各市で、6月29日現在、155社が参加を表明しています。
定年退職者含めアルムナイ採用 オートバックス
㈱オートバックスセブンは、定年退職者を含む元従業員を対象に、アルムナイ採用制度の運用を開始しました。社外で得た知識や経験を活かしてもらうことを狙いに、「退職後原則として1年以上経過」していることを条件としました。同社の定年年齢は65歳で、原則70歳まで再雇用しています。
アルムナイでの採用上限年齢は70歳としました。65歳以上は正社員ではなく、アルバイトや契約社員として迎え入れます。「定年まで勤め上げたということは、相応のスキルを持っている人材のため、高い需要がある」(同社広報部)としています。
対象となるのは定年退職者のほか、自己都合により円満に退職した者で、所属時の雇用形態は問いません。採用に当たっては、筆記試験など一部プロセスを省略します。給与や職位は配属先や退職前の担当業務、退職後に培われたスキルなどを総合的に勘案して決定します。
監督指導動向
不適切な運用を警戒 フレックスの採用増加で 品川労基署
東京・品川労働基準監督署は、フレックスタイム制度の不適切な運用に対し警戒を強めています。ここ数年で管内にIT企業やスタートアップなど、制度を採用する傾向の強い業界の企業が増加していることを受けたものです。勤務時間について事実上の指揮命令が認められる場合、指導票を交付する可能性もあるとしました。
同労基署は勤務時間の指揮命令が問題となる例として、コアタイムを定めていない企業で、時間指定のある顧客対応や定刻のミーティングへの参加を指示しているケースを挙げました。「自社の業務に馴染むかを精査しないまま、安易に制度を導入している企業が散見される」と話しています。
指導では、制度の適正な運用のほか、労働時間適正把握ガイドラインに則り、始業・終業の時刻を正確に把握するよう求めています。
同労基署管内では再開発により多くのオフィスビルが建設され、IT企業やスタートアップの入居が相次いでいます。
送検
無資格外国人が玉掛け 啓発月間契機に事前送検 羽曳野労基署
大阪・羽曳野労働基準監督署は、昨年6月11日に無資格の外国人労働者に吊上げ荷重1トン以上のクレーンの玉掛け業務をさせたとして、鋼板の切断加工業者と同社代表取締役を労働安全衛生法第61条(就業制限)違反の疑いで大阪地検に書類送検しました。違反は毎年6月に実施する「外国人雇用啓発月間」の活動の一環で臨検した際に現認しました。無資格運転に起因する労働災害は発生していませんが、過去にも同じ違反で是正勧告をしており、「違反を繰り返していた点」を重くみて事前送検に踏み切りました。
同社は、外国人労働者が吊上げ荷重2.8トンのクレーンで鋼板を吊り上げて工場内に運び入れる際、玉掛け作業に従事させていました。同社には玉掛けの法定資格を持つ労働者が他にいましたが、外国人労働者は資格を持っていませんでした。
同労基署では、毎年6月に厚生労働省が実施する「外国人雇用啓発月間」の取組みとして外国人を雇用する事業場への監督を強化していました。過去に同じ違反で是正勧告をしていた同社へ是正状況の定着確認のために臨検に入ったところ、違反が確認されたといいます。
調査
テレワークで人材確保 令和7年通信利用動向調査 総務省
総務省は、常用雇用者100人以上の企業を対象に、令和7年8月末時点のテレワークの導入状況などを調査しました。
テレワークを導入している企業の割合は5割を超え、50.1%となりました。前年から2.8ポイント増加しています。産業別にみると、「卸売・小売業」、「建設業」、「製造業」で前年からの伸びが大きく、増加幅は順に5.5ポイント、3.9ポイント、3.6ポイントです。
主な導入目的は「新型コロナウイルス感染症への対応(感染防止や事業継続)のため」の選択割合が61.6%と最も高くなっています。「勤務者のワークライフバランスの向上」(53.8%)、「障害者、高齢者、介護・育児中の社員などへの対応」(33.4%)、「人材の雇用確保・流出の防止」(23.9%)では前年から大きく増加しています。増加幅は順に2.2ポイント、6.1ポイント、3.6ポイントとなりました。
テレワークの導入目的(複数回答)

実務に役立つQ&A
同日得喪し保険料は? 定年退職月に賞与支給
当社の定年年齢は60歳ですが、定年のタイミングと賞与支払月が重なった従業員がいます。継続雇用により賃金が減るため、同日得喪により社会保険の被保険者資格の喪失と再取得を行いますが、資格喪失月に支払う賞与に保険料はかかるのでしょうか。
保険料は月を単位として算定するため、月の最終日に被保険者資格を取得したときでも1カ月分の保険料が徴収されることになります。一方で、前月から引き続き被保険者である者が資格を喪失した場合、その月分の保険料は算定されません(健保法156条)。賞与も同様の取扱いで、原則として資格喪失月に支払われれば保険料の対象とはなりません。ただし、月末退職の場合には注意が必要です。
日本年金機構のホームページに掲載されている疑義照会では、同じ月内において、賞与を支給後に定年再雇用となる従業員に対して、再度賞与を支給する場合の考え方が示されています。資格喪失前に支給された賞与は標準賞与額の対象とはしていない一方で、再取得後に支給された賞与をもとに標準賞与額を決定しています。
身近な労働法の解説
―職場における妊娠、出産等に関するハラスメント防止措置―
男女雇用機会均等法11条の3および育児・介護休業法25条では、職場における妊娠・出産・育児介護休業等に関するハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。
「職場における妊娠、出産等に関するハラスメント」とは、職場において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業等を申出・取得した「男女労働者」等の就業環境が害されることです。
- 事業主の防止措置(指針(平28年厚労省告示312号 令8.10.1適用))
(1)事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
①妊娠・出産等に関するハラスメントの内容および妊娠・出産等に関する否定的な言動が職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの発生の原因や背景となり得ること、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを行ってはならない旨の方針ならびに制度等の利用ができることを明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発します。
②妊娠・出産等に関するハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発します。
(2)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知します。
④相談窓口の担当者が、適切に対応できるようにします。妊娠・出産等に関するハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、妊娠・出産等に関するハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応します。
(3)事後の迅速かつ適切な対応
⑤事実関係を迅速かつ正確に確認します。
⑥事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行います。
⑦事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行います。
⑧再発防止に向けた措置を講じます。
(4)原因や背景となる要因を解消するための措置
⑨業務体制の整備など、事業主や妊娠等した労働者その他労働者の実情に応じ、必要な措置を講じます。
(5)そのほか併せて講ずべき措置
⑩相談者・行為者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知します。
⑪労働者が事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力したこと、都道府県の援助制度の利用等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発します。
2.その他望ましい取組の内容
職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、妊娠等した労働者の側においても、制度等の利用ができるという知識を持つことや、周囲と円滑なコミュニケーションを図りながら自身の体調等に応じて適切に業務を遂行していくという意識を持つこと等を、妊娠等した労働者に周知・啓発するのが望ましいとしています。
今月の実務チェックポイント
賞与支払届と標準賞与額
賞与を支給した事業所では、「賞与支払届」の提出が必要です。今回は賞与支払届と標準賞与額について確認しておきましょう。
1.賞与支払届とは
健康保険・厚生年金保険の被保険者および70歳以上被用者へ賞与を支給した場合、事業主は支給日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届」を提出します。
2.賞与とは
賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるもののうち、年3回以下の支給のものは賞与として取り扱われます。
少額の寸志でも賞与として取り扱われることに注意しましょう。
3.標準賞与額とは
実際に支払われた賞与額(税引前の総支給額)から1,000円未満を切り捨てた額を「標準賞与額」といいます。健康保険料・厚生年金保険料は、この標準賞与額に保険料率を乗じて算出します。保険料は、事業主と被保険者が折半で負担します。
4.標準賞与額の上限
健康保険は年度の累計額573万円(年度は毎年4月1日から翌年3月31日まで)、厚生年金保険は1カ月当たり150万円とされていますが、同月内に2回以上支給されるときは合算した額で上限額が適用されます。
5.育児休業中の社員へ賞与を支給した場合
育児休業中であっても、賞与を支給した場合は原則として賞与支払届の提出が必要です。
ただし、育児休業等期間中の賞与については、次の要件を満たす場合、健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。
【賞与保険料免除の要件】
・育児休業等を取得していること
・賞与支給月の月末に育児休業等を継続していること
・当該育児休業等の期間が連続して1カ月を超えること
【実務上の注意】
賞与の算定対象期間に勤務実績があっても、賞与支給月の月末に連続して1カ月を超える育児休業を取得している場合には、賞与に係る社会保険料は免除となります。
6.賞与支払予定月に、賞与を支給しなかった場合
賞与支払い予定月に賞与を支給しなかった場合は、「賞与不支給報告書」を提出します。
今後も賞与支払予定がなくなった場合は、「賞与支払予定月の変更」の欄に全て「00」を記入して提出します。
助成金情報
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
少子高齢化による人手不足が深刻化する中、外国人労働者を雇用する企業は年々増加しています。一方で、外国人労働者は日本の労働法令や雇用慣行に関する知識不足、言語や文化の違いなどから、労働条件や職場生活を巡るトラブルが生じやすく、早期離職につながるケースも少なくありません。
こうした状況を踏まえ、外国人労働者が安心して働ける職場環境の整備に取り組む事業主を支援しています。
【制度の趣旨】
本助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境整備を行い、外国人労働者の職場定着を促進することを目的としています。採用した人材に長く活躍してもらうための環境づくりを支援する趣旨です。
【対象事業主】
雇用保険被保険者となる外国人労働者を雇用している事業主が対象となります。なお、特別永住者および在留資格「外交」「公用」の者は対象外とされています。
【主な要件】
本助成金では、まず次の2つの必須メニューを実施する必要があります。
①雇用労務責任者の選任
雇用労務責任者を事業所ごとに選任し、雇用する外国人労働者に周知するとともに、就労環境整備計画期間において少なくとも1回以上面談を実施します。
②就業規則等の多言語化
就業規則、労働協約、労働条件通知書、雇用契約書のいずれかを多言語化し、計画期間中に、雇用する外国人労働者に周知します。
さらに次の選択メニューのうち、少なくとも1つを実施する必要があります。
①苦情・相談体制の整備
外国人労働者の苦情または相談に応じるための体制を新たに定め、外国人労働者の母国語または当該外国人労働者が使用するその他の言語により苦情・相談に応じます。
②一時帰国のための休暇制度の整備
外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得できる制度を新たに定め、1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇を取得させます。
③社内マニュアル・標識類等の多言語化
社内マニュアルや標識類を新たに多言語化し、計画期間中に、外国人労働者に周知します。
【助成額】
助成額は、就労環境整備措置を1つ導入するごとに20万円が支給されます。上限額は80万円となっています。
また、外部機関へ委託した場合の翻訳費用、通訳費、翻訳機器導入費、多言語標識の設置費用等も対象経費となります。
【支給要件】
助成金の支給を受けるためには、就労環境整備措置実施日の翌日から6カ月経過するまでの期間の外国人労働者の離職率が15%以下であることが求められます。また、外国人雇用状況届出を適正に提出していることも必要です。
【手続の流れ】
まず就労環境整備計画を作成し、都道府県労働局へ提出します。計画期間は3カ月以上1年以内です。その後、計画に基づき就労環境整備措置を導入・実施し、実施後6カ月経過後に支給申請を行います。
* 制度の詳細は厚生労働省HP「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)のご案内」等をご参照ください。
今月の業務スケジュール
| 労務・経理 | 慣例・ 行事 |
| ●7月分の社会保険料の納付 ●7月分の源泉徴収所得税額・特別徴収住民税額の納付 |
●食品衛生月間 ●夏季休暇中の社内体制確立・対外広報 ●お中元のお礼状発送 ![]() |





