
最新・行政の動き
リスキル機会を拡充 機運醸成へ国民運動も骨太方針
政府は「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太の方針)を閣議決定しました。「強い経済」を実現するため、17の戦略分野や医療・福祉・介護などエッセンシャル分野をはじめとした幅広い人材の育成・確保に向けた国や地域における取組みを推進するとしました。リスキング機会を拡充するほか、デジタル技術を活用して現在よりも高い賃金を得る「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」の育成に取り組みます。スキルアップに向けた機運を醸成するための「全世代型リスキリング国民運動」も展開します。
人材育成に関しては、教育政策、産業政策、雇用政策などの関係政策を連携させ、一気通貫で推進すると指摘しました。産学官の連携の下、必要なスキル・処遇の明確化やプログラム開発、費用負担の軽減、社会人による奨学金の活用促進などに向けた検討を行い、リスキリング機会の拡充を図るとしました。
強い経済を実現する観点から、賃上げ環境整備にも重点的に取り組みます。2029年度までの間に、物価上昇を年1%程度上回る賃金上昇を賃上げのノルム(社会通念)として定着させると明記しました。中堅・中小企業が地域経済をけん引できるよう、「労働供給制約社会における中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略」に基づき、変革に挑む企業に対して積極的かつ幅広い支援を行うとしました。
ニュース
申請早期化を図る 育休等給付の手続変更 厚労省
厚生労働省は8月1日から、出生時育児休業給付金や出生後休業支援給付金など一部の育児休業等給付に関する申請手続きを変更しました。雇用保険被保険者や人事労務担当者などが申請手続きを行いやすくするのが狙いです。出生時育休給付金については、申請を早期化するため、申請時に申告する賃金を従来の「出生時育休期間を対象として支払われた賃金」から、「出生時育休期間中に支払日のある賃金」に見直しました。
「出生時育休期間中に支払日のある賃金」は、同期間(育休期間を含む)を対象とした賃金に限定します。出生時育休を分割取得する場合は、その間の就労期間に支払日がある賃金も含めます。
出生時育休給付金などを受ける者が要件を満たした際に上乗せして支給する出生後休業支援給付金に関しては、配偶者の確認書類を見直しました。具体的には、母親が申請する際の確認書類として、母子健康手帳(出生済み証明のページ)の写しの提出を認めます。ただし、配偶者の氏名と生年月日が記載されている必要があります。
リチウムイオン電池 昨年の火災件数が過去最多
業務中なら労災にも 東京消防庁
東京消防庁は、モバイルバッテリーやスマートフォンなどリチウムイオン電池を搭載した製品の火災件数が、昨年は過去最多となる382件発生したと発表しました。今年は昨年を上回るペースで発生しており注意を呼び掛けています。
令和7年に出火した製品で最も多いのはモバイルバッテリーで、全体の34.0%(130件)を占めました。携帯電話機(スマートフォン)が11.3%(43件)で続いています。そのほか、電動アシスト付自転車、電動工具やノートパソコンからも出火しています。
火災は職場内でも発生しています。事務室でデスク下のリュックに入れていたモバイルバッテリーが出火した事例があり、出火箇所にいた従業員50人が屋外に避難する事態となりました。ほかにも、事務所の給湯室で充電中の掃除機のバッテリーから発火し、火災となった事例も発生しています。
同消防庁は火災の急増を受け、対策を呼び掛けています。車内やカバンの中など、熱のこもりやすい場所での使用を控え、衝撃を与えないよう適切に取り扱うことを促しています。
リチウムイオン電池関連の火災に関して、東京労働局安全課は、業務中に出火して負傷した場合、労災に該当し得ると指摘しています。「出火の原因が溶接火花であれ、モバイルバッテリー、携帯電話であれ、火災が発生すると重大事故につながるので、まず火元となるものをしっかり管理することが大事」と管理の重要性を強調しました。
多能化へ週1日副業 社内のDX企画等公募 めぶきFG
めぶきフィナンシャルグループの㈱常陽銀行と㈱足利銀行は、週1日、他部署の業務や部署横断型プロジェクトに従事できる「社内副業制度」を導入しました。専門性の高い人材や、多様な業務に精通して組織により貢献できる人材の育成につなげていきます。
対象は主に本部業務で、DX企画、事務効率化企画などに参加できるようにします。各部署・プロジェクトが人材要件を定め、公募します。7月から運用を開始し、常陽銀行では14業務で募集中です。期間は半年を基本とし、業務によっては2~3年を見込んでいます。
同グループでは、公募に基づいて希望の部署に3~6カ月間出向できる「トレーニー制度」も設けています。多様な業務への挑戦を促す制度として機能している一方、期間終了後も出向先に留まるケースもあるため、応募のハードルが高いことが課題でした。
送検
労災隠蔽で元請送検 統括管理報告に不記載 加治木労基署
鹿児島・加治木労働基準監督署は、大規模建設工事の元請業者に命じている統括管理状況の報告において、労働災害の発生状況を記載しなかったとして、建設工事の共同企業体(JV)のうち1社(東京都中央区)と同社九州支店社員を労働安全衛生法第100条(報告等)違反の疑いで書類送検しました。
記載がなかったのは、二次下請業者の労働者が被災した災害でした。令和6年6月、JVが施工する橋梁建設工事現場で、移動式クレーンで吊っていた型枠材が労働者に落下して肩や腰を負傷し、圧迫骨折等により計44日間休業しました。この災害については、二次下請業者が一次下請業者と共謀して労働者死傷病報告を行わなかったとして、2社を送検しました。
JVの1社は、同労基署が令和7年4月に定期監督した際、着工時から本当は3件の労災が発生しているにもかかわらず、「2件発生しているのみ」などとする虚偽陳述を行った疑いでも立件されています。
監督指導動向
監督数が令和最多に 技能実習の実施機関で 東北6労働局
東北地方の6労働局は、令和6年に技能実習の実習実施機関に対して行った監督指導状況を明らかにしました。実施事業場数は836事業場に上り、令和元年以降で最も多くなりました。836事業場中、71.7%に当たる599事業場で違反を確認しました。日本人労働者に関する違反も含んでいます。
違反事項別では、「安全基準」が最も多く、違反があった事業場のうち31.7%(190件)で確認されました。機械のはさまれ・巻き込まれ防止措置や、高所からの墜落防止措置の未実施などがみられています。次いで、「割増賃金」が26.9%(161件)、「労働時間」が21.7%(130件)となっています。
仙台出入国在留管理局によると、東北地方の在留外国人に占める技能実習生の割合(令和7年)は約25%でした。全国(約11%)を10ポイント以上上回っています。
労働局や労働基準監督署は、出入国管理機関とも連携して労働条件の確保に取り組んでいます。令和6年には、労働基準関係法令違反の疑いがあるとして、出入国管理機関から109件の通報を受けました。
猛暑対策に取組む建設業へ変形制周知を強化 埼玉労働局
埼玉労働局は、建設業に対する1年単位の変形労働時間制の周知と導入支援を強化していきます。猛暑期の所定労働時間を短縮し、熱中症リスクの低減を図る事業者を後押しする狙いです。建設業向けの集団指導や臨検の機会を捉えて制度を周知していくほか、労働基準監督署での支援体制を強化します。
集団指導や臨検では、厚生労働省のリーフレットや「建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A」を中心に紹介し、労基署に導入に向けた相談をするよう促していきます。所定労働時間を短縮した分、気温のピークとなる時間帯の休憩時間を延長する事業者を想定し、休憩や手待ち時間の定義も指南します。
労基署での相談対応では、時期による繁閑差の事情を聴き取り、アドバイスを行います。たとえば道路補修

などの突発的な公共事業を多く受注しているため、夏場の業務量の見通しを立てにくい事業者には、起算日を受注の見通しがある程度立った7月以降にすることなどを提案します。必要に応じて働き方改革推進支援センターも案内していきます。
調査
中小企業の課題解決に向けたOFF-JT研修の活用に関する意識調査
公益財団法人産業雇用安定センター(ジョブ産雇)は、中小企業の社員教育に携わる課長職以上の役職員1000人を対象に、企業課題の解決に向けたOFF-JT研修の活用に関する意識調査を行いました。
過去3年間における「OFF-JTによる社員教育・研修」の実施状況をみると、「毎年計画的に実施している」が27.5%、「計画的ではないが実施した」が20.0%、「2年または3年ごとに計画的に実施している」が6.1%でした。「実施した」は合わせて53.6%となっています。
OFF-JTを実施した研修テーマとしては、「組織の活性化、管理能力・従業員の意欲向上」が43.3%で最多となりました。「自社事業の技術力、サービス力向上」が40.5%、「ハラスメント防止などコンプライアンス強化」が33.4%、「経営を担う次世代リーダー・後継人材の育成」が33.0%と続いています。
OFF-JTの副次的な効果については、「社内活性化」が49.8%に上りました。
実施した OFF-JT 研修の主テーマ(単位:%)(n=536)

実務に役立つQ&A
意向確認の内容は? 正社員募集情報を周知
パートやアルバイトを正社員へ転換するための措置として、募集内容の周知が義務付けられています。改正指針では、本人の「意向確認」を求めていますが、実際に本人が応募するかどうかまで確認する必要があるのでしょうか。
事業主は、パート・有期雇用労働者を通常の正社員へ転換するための措置を講じる必要があります(パート・有期雇用労働法13条)。①募集情報の周知、②配置の際の希望申出機会の付与、③転換試験制度のいずれかの措置を講じる義務があります。令和8年10月からは、契約更新時の面談やメール等を活用し、対象労働者の正社員転換への意向を確認し、配慮する義務が新たに課せられます(令8・4・28厚労省告示202号)。
①の「募集情報の周知」や②の「希望申出機会の付与」をする際の意向確認ですが、実際に労働者が応募・申出をするか否かを網羅的に確認することまで会社に義務付けたものではありません(令8・6・29雇均発0629第2号)。面談等において、将来的な正社員転換への希望の有無等を確認してみてください。
身近な労働法の解説 ―職場におけるパワハラ防止措置―
労働施策総合推進法30条の2(2026.10.1改正法31条)では、職場におけるパワーハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。
職場におけるパワーハラスメントとは、職場で行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③その雇用する労働者の就業環境が害されるものです。客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は該当しません。
1.事業主の防止措置
(1)事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
①職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならな
い旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発します。
②行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を
就業規則等文書に規定し、労働者に周知・啓発します。
(2)相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知します。
④相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにします。
(3)事後の迅速かつ適切な対応
⑤事実関係を迅速かつ正確に確認します。
⑥事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行います。
⑦事実確認ができた場合には、事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行います。
⑧再発防止に向けた措置を講じます(事実確認ができなかった場合も含みます)。
(4)そのほか併せて講ずべき措置
⑨相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨を労働者に
周知します。
⑩相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に
周知・啓発します。
※労働者が事業主に相談を行ったことや雇用管理上の措置に協力して事実を述べたことを理由とする解雇その他不利益な取扱いをすることは、労働施策総合推進法により禁止されています。
2.そのほか望ましい取組みの内容
職場におけるパワーハラスメントの原因や背景となる要因を解消するため、コミュニケーションの活性化のための研修や適正な業務目標の設定等職場環境の改善のための取り組みを行うことが望ましいとしています。
職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を行う際に、自ら雇用する労働者以外に、「他の事業主が雇用する労働者 ・就職活動中の学生等の求職者」や「労働者以外の者(個人事業主などのフリーランス、インターンシップを行う者、教育実習生等)」に対しても同様の方針を併せて示すことが望ましいとしています。
今月の実務チェックポイント
社会保険調査に備えるポイント
日本年金機構により、適用事業所を対象に社会保険の適用・保険料算定等に関する調査が実施されています。今月は調査に備えるポイントについて確認しましょう。
- 調査前に整備しておきたい書類
次の書類がすぐ提示できるよう整理しておくと調査もスムーズに対応できます。
・賃金台帳
・出勤簿・タイムカード・勤怠記録
・労働者名簿
・雇用契約書・労働条件通知書
・就業規則・賃金規程
・算定基礎届・月額変更届・賞与支払届の控え
・資格取得届・資格喪失届の控え
・賞与支給一覧・給与明細
・源泉所得税の領収書
- 調査で確認される主な項目
・入退社時の届出漏れはないか
加入要件を満たす従業員について、資格取得届が適正に提出されているか
・標準報酬月額
固定的賃金変更後の月額変更届
算定基礎届の報酬額が実際の給与と一致しているか
通勤手当・各種手当の算入漏れがないか(通勤手当の額が変更された場合は、固定的賃金の変動に該当するため、月額変更届の対象となる場合があります。)
賞与支払届(賞与支給後の届出漏れ、決算賞与等の取扱いについて)
- よくある指摘事例
月額変更届の提出漏れ、資格取得日の誤り(入社日から取得していない)、賞与支払届の提出漏れ(決算賞与・臨時賞与の届出を失念していた)
調査で届出漏れ等が判明した場合は、遡って資格取得届や月額変更届等の提出が必要となることがあります。また、標準報酬月額が変更された場合には、社会保険料を遡って精算するケースもあります。
日頃から賃金台帳や勤怠記録と届出内容を照合し、入退社・昇給・賞与支給の都度確認する習慣をつけておくことが、調査対応の近道です。
助成金情報
キャリアアップ助成金(障害者正社員化助成コース)
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等(勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員を含む)へ転換した事業主に対して助成するものであり、より安定度の高い雇用形態への転換等を通じた障害者の職場定着を目的としています。
【制度の趣旨】
本コースは、障害者の雇用機会の拡大だけでなく、より安定した雇用形態への転換を通じて、能力を発揮しながら長く働ける職場環境を整備することを目的としています。有期雇用から正規雇用への転換のほか、有期雇用から無期雇用、無期雇用から正規雇用への転換も助成対象となります。
【対象事業主】
対象となるのは、雇用保険適用事業所の事業主であり、事業所ごとにキャリアアップ管理者を配置するとともに、障害者正社員化コースを盛り込んだキャリアアップ計画を作成し、コース実施日の前日までに管轄労働局へ提出していることが必要です。また、対象労働者の労働条件や賃金に関する書類を整備していることなども求められます。
【主な要件】
対象となる労働者は、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者などで、転換時点において、有期雇用または無期雇用で一定期間継続雇用されていることなどが要件となります。また、正社員として採用することを前提に雇い入れられた者は対象外です。さらに、転換後6か月間は転換前より賃金を減額していないことが必要です。
【支給額】( )内は大企業の額
| 支給対象者 | 措置内容 | 支給総額 | 支給対象期間 | 各支給対象期間における支給額 |
| 重度身体障害者
重度知的障害者 精神障害者 |
有期雇用から正規雇用 | 120万円 (90万円) |
1年
(1年) |
60万円×2期 (45万円×2期) |
| 有期雇用から無期雇用 | 60万円 (45万円) |
30万円×2期 (22.5万円×2期) |
||
| 無期雇用から正規雇用 | 60万円 (45万円) |
30万円×2期(22.5万円×2期) | ||
| 重度以外の身体障害者 重度以外の知的障害者 発達障害者 難病患者 高次脳機能障害と 診断された者 |
有期雇用から正規雇用 | 90万円 (67.5万円) |
45万円×2期(33.5万円※×2期 ※第2期の支給額は34万円 |
|
| 有期雇用から無期雇用 | 45万円 (33万円) |
22.5万円×2期(16.5万円×2期) | ||
| 無期雇用から正規雇用 | 45万円 (33万円) |
22.5万円×2期(16.5万円×2期) |
支給対象期間1年間のうち、最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期といいます。
ただし、この支給額が、各々の支給対象期間における労働に対する賃金の額を超える場合には、当該賃金の総額を上限額とします。
【手続の流れ】
手続は、①キャリアアップ計画の作成・提出、②対象労働者の正社員等への転換、③転換後6か月間の賃金支払い、④支給申請、⑤審査・支給決定という流れで進みます。キャリアアップ計画はコース実施日の前日までに提出する必要があり、転換後6か月分の賃金を支払った日の翌日から起算して2か月以内に支給申請を行います。
* 制度の詳細は厚生労働省HP「キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)のご案内」等をご参照ください。

今月の業務スケジュール
| 労務・経理 | 慣例・ 行事 |
8月分の社会保険料の納付
|
(9月1日~30日 |
)



